開催レポート

参加者 60組 (幼児から大人の方及び指導者) 会場を訪れた人数 約200名
<アドバイザー>
　久元　祐子 先生　（東京都）、　西　佳子 先生　（広島県）　、石黒　聖菜 先生 （愛知県）

京都アトリヱステーションでは、毎年、修学院の「アトリヱ・松田」を会場としていましたが、今年は、重要文化財である「京都府庁旧本館」が会場です。1904年に建造された明治時代の名建築のひとつで、現在も執務室や会議室として使用されており、創建時の姿をとどめる現役の官公庁建物として最古のものです。
その中の「旧議場」は、１９６９年まで府議会が開催されてきた歴史ある場所で、高い天井に真っ白な漆喰の壁、すずらんのようなシャンデリア、深紅の絨毯にうす緑色の議員席。そんな素敵な会場に　ピアノを運び入れてみると、ルネサンス様式の優雅な雰囲気にピアノが美しく映えて、全体と調和していました。旧議場から一歩廊下へ出れば、回廊をめぐり、中庭を散策することもできます。参加者や来場者の方が、中庭に面しておかれた長椅子に座って、待ち時間を過ごされる姿も絵になるほどです。
　演奏者の方も、特別な会場とその響きには大変満足されたようでした。そして、音楽を愛する者同士、それぞれの演奏にエールの拍手を送りあっていました。

今回も継続表彰の方が多くいらっしゃいましたが、中でも特筆すべきは、２００回目の表彰者の方がいらっしゃったこと！最終部の最後に演奏された前川成仁さんです。その真摯な演奏に、これまでの努力と熱意が伝わってきて、聴衆全員が引き込まれ、聴き入りました。会場は心を打たれた聴衆の皆様からのあたたかい拍手に包まれました。最終部には、３５回の継続表彰を受けられた前川さんのお嬢さんも出場されて、お父様の演奏の前に素晴らしい演奏を披露され、お祝いムードにより一層、華を添えられました。
　今回の参加者全体の3割がグランミューズでした。大人の参加者の演奏には、テクニックを超えて人の心に迫る演奏も多くありました。アドバイザーの先生からは「音楽大学の学生たちにも聴かせたい」という言葉もあるほどでした。「このように歴史があり、尚且つ響きの良い空間で奏でられる幸せに感謝してほしい」「ピアノは、一音一音大切に気持ちを伝えられる楽器です。その素晴らしさを味わいつつ人生を歩んでいってください」等の講評もいただき、参加者の皆様も実感されている様子でした。今後もこのステップが音楽を通じた人と人とのつながりで人生を豊かに彩る一助となるよう、続けてまいりたいと思います。